「バーツ」という言葉の起源は、14世紀頃のスコータイ王朝時代にまで遡ります。
当時、タイでは「ポッドゥアン」と呼ばれる、弾丸のような形をした銀の塊がお金として使われていました。この時代、**「バーツ」とは、お金の名前ではなく、金や銀の重さを量るための「質量の単位」**だったのです。(1バーツ = 約15グラム)
これは、イギリスの通貨「ポンド」が、もともと「1ポンドの銀の重さ」を意味していたのと同じです。つまり、バーツという言葉には、「確かな価値を持つもの」という意味が、その始まりから込められていたのです。
(参考: Wikipedia – Thai baht)
なぜ全ての紙幣に「国王」が描かれているのか?
タイの紙幣デザインの最も大きな特徴は、全ての額面に国王の肖像画が描かれていることです。これは、タイにおける王室の特別な立ち位置を象徴しています。
国民統合の象徴としての「チャクリー王朝」
1782年にラーマ1世によって建国されて以来、現在まで続くチャクリー王朝は、タイの歴史そのものです。特に、近代化を推し進めたラーマ5世(チュラロンコン大王)や、70年という長きにわたり在位し「国の父」として絶大な尊敬を集めたラーマ9世(プミポン前国王)など、歴代の国王は、常に国民の中心に立ち、国の発展と安定に尽力してきました。
政治的な混乱が起きた際にも、国王の言葉が事態を収束させるなど、タイ国王は単なる君主ではなく、国民統合の精神的な支柱として、人々から深く敬愛されているのです。
国の顔であり、国民の心の拠り所である国王の肖像画を、国の通貨に描くこと。それは、その紙幣がタイという国家の信用と誇りを背負っていることを示す、最も力強い象徴なのです。
通貨の歴史が教える「有事の際は、現金は王様」
国王の肖像画が描かれた「モノ」としての紙幣を、タイの人々が非常に大切に扱う文化は、私たちに一つの重要なことを教えてくれます。
それは、「現金」そのものが持つ、物理的な価値の重みです。
有事の際は現金は王様です。
現金が主流のタイでは特に、システム障害や災害、カード紛失といった「有事」に、電子決済は機能しなくなります。
その時、国家の信用と国民の敬意が宿り、物理的に存在するこの「現金」こそが、あなたを助ける最後のライフラインになるのです。紙幣への敬意は、その本質的な価値への再認識に繋がります。
まとめ:一枚の紙幣に込められた、タイの心
タイバーツという通貨は、単なる決済手段ではありません。
それは、タイ国民の王室への深い敬意と、国の統一と発展の歴史そのものを表現した、文化の象徴なのです。
次にタイバーツを手に取った時には、ぜひその肖像画に少しだけ注目してみてください。一枚の紙幣が、ただの「お金」以上の、タイの温かい物語を語りかけてくれるはずです。
歴史の重みを持つ一枚を、専門家の手であなたの元へ
私たち現金屋は、日々何千枚ものタイバーツ紙幣を取り扱っています。
その一枚一枚に、この記事でご紹介したような、タイの誇るべき歴史と文化が宿っていることを、私たちは決して忘れません。
専門の鑑定機と長年の経験で、その価値と信頼性を一枚一枚丁寧に見極めた「本物」のタイバーツを、お客様にお届けすること。それが、両替のプロである私たちの使命です。

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